簡単に愛車の空力を改善する方法

写真の位置に突起物を貼り付けると適度な乱流が発生し、
高速走行時の空力特性が大きく改善されます。

フロントに付けられた突起は、車の直進安定性を格段に向上させます。
リアに付けられた突起は、車体後方の気流を整流し空気抵抗を減らします。

リアガラスが立ち気味の車の場合は、
リアピラーに付けるのも良い結果が得られると思います。



小さな乱流を起こせば良いので材料はなんでもいいです。
おそらく消しゴムを貼り付けても効果があると思いますので、
一度試してみることをおすすめします。

これらはボルテックスジェネレーター(乱流発生装置)の一種で、
トヨタではエアロスタビライジングフィンと呼ばれ
純正採用されている空力デバイスを応用したものですが、
ある程度の大きさが無いと効果は実感出来ないようです。



以下のレポートは色々な空力デバイスを自 作してテストした記録となります。

なお、自分の思い込みによる評価ミスを防ぐため、
各種空力デバイスを取り付けてテストした後、
すぐに外してノーマル状態でもう一度テスト走行し、
その効果が無くなるのを確認しています。

ちなみに、私はラジコン飛行機の開発もやっている関係で、
この手のテストには慣れており空力に関しても全くの素人ではありませんが、
自動車で空力を実験するのは初めてとなりますので、よろしくお願いします。



まずはフロントのカナードを作ってみました。
塩ビ板をコの字に曲げガムテープで貼り付けただけです。

想像では、フロントのダウンフォースが増えて空気抵抗が増えそうですが、
はたして高速道路走行で何か体感できるでしょうか?

走ってみて驚きました!全然違います。
直進安定性が大幅に良くなりました。
プリウスの直進安定性はあまり良い方ではありませんが、
まるで違う車のように真っ直ぐ走るようになり、
走行中の修正舵がほとんど必要無くなりました。

私の想像とは異なり、ダウンフォースの発生は
ごく僅かで空気抵抗の増大はそれほど感じませんでした。

自分の感覚的には直進安定性50%と大幅に改善、
ダウンフォース10%増大、空気抵抗5%増大と感じました。
どうやらカナードの効果はこの部分でダウンフォースを発生させるというよりも、
継続的な縦渦を発生させることにより、
車体横に発生する不安定な乱流を整流する効果があるのではないかと思います。

カナードは80キロぐらいから効き始め、
速度が増すごとにどんどん安定度が増します。
修正舵がいらないので、運転は非常に楽になりました。
またこれは車間距離に大きく影響を受け、十分な効果を得るためには
少なくとも車間距離150m以上が必要みたいです。
今まで知らなかった色々なことが分かり大変面白いですね。
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次に、大きなダウンフォースを発生させると言う
アンダーフロアスポイラー(グランドエフェクター)を取り付けてみました。

ボディ底面に気流を横に逃すような形に取り付けるんですが、
私の考えでは「地面とかなりの隙間があるので
空気は後方に逃げるはずで効くわけがない。」と思っていました。

しかし、実際に試してみると驚くほど大きな変化がありました。
ダウンフォースはかなり強く発生しているようで、
地面にくっつくような感覚がはっきり感じられ、
走行中の安定度が格段に増しました。

これは70キロぐらいから強力に効き始めます。
ただ、同時にかなり空気抵抗が増えるようで、
アクセルを多めに踏む必要があります。
感覚的にはダウンフォース30%増大ですが、
空気抵抗も30%増大と言ったところです。

私の想像ではアンダーフロアスポイラーは空気を横に逃すというより、
このデバイスの前後に空気の滞留を作り、
空力的にフロア形状を膨らませてベンチュリー効果で
地面にくっ付ける力を得ているような気がします。
ですから、たぶん進行方向に直角に取り付けても効果があるんじゃないかと思います。

アンダーフロアスポイラーは燃費重視の車にはお勧めできませんが、
パワーを犠牲にしてもダウンフォースが必要な
ハイパワーのスポーツカーには効果的だと思います。
三菱ではランサーエボリューションX用フロアエアガイドと言う
同様の機能を持つ純正品がありますね。
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次はレース用マシンのウイングに良く付けられているガーニーフラップです。
取り付けて走ってみると、後ろにダウンフォースが少し発生したようでリアが安定しました。
しかし同時に空気抵抗が増えた上に、
フロントがかなり不安定になってあまり良くなかったです。
感覚的にはリアダウンフォース10%増大、空気抵抗5%増大、フロント安定15%減です。
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次は各種ボルテックスジェネレーターを試しましょう。
最近発売される車(特にトヨタ車)では、リアのテールランプに
突起(エアロスタビライジングフィン)が付いていることが多いですね。

そこでまずリアのピラー部に、
プラスチックアングルで作ったボルテックスジェネレーターを付けました。
アングルは厚みが無いので、縦渦が良く発生するように少し斜めに貼り付けました。

走ってみましたが、これは走行フィーリングが凄く良いです。
直進安定性10%改善ですが、驚くことに空気抵抗が5%ぐらい減ったように感じます。
70キロぐらいから効き始め、スピードを上げても直進安定性は良好ですし、
ネガティブな部分は全くありません。
おそらく燃費も少し良くなると思います。
さすが純正採用されるだけのことはありますね。
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リアバンパー横にも付けてみましたが、これも非常に良いです。
直進安定性はリアピラーに付けた時よりも更に良く15%アップ、
空気抵抗5%減ぐらいのフィーリングです。
小さな部品を貼り付けるだけでこんなに良くなるなんて不思議ですね。
詳しいメカニズムは良く分かりませんが、
どなたにでもオススメできる優れた空力デバイスだと思います。
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ルーフに航空機に付けられるようなボルテックスジェネレーターを付けてみました。
直進性が少し良くなりましたが、同時に空気抵抗が増えてしまいました。
直進安定性5%改善、空気抵抗10%増大です。
想像とは違い、あまり良い結果は得られませんでした。
ただ、この直後にウイングが付いている場合は違う結果になるかもしれません。
プリウスはここにアンテナが付いていますが、取り外すと空気抵抗が減るかも?
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リアスポイラー上部に付けてみました。
これも直進安定性5%改善、空気抵抗10%増大です。
あまり良くありません。かなり抵抗になるようです。
貼り付ける形を/// \\\状にしても結果は同じでした。
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フロントのピラーにもデバイスを付けてみましたが、
特に何も変化を感じることが出来ませんでした。
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今度はノーズにボルテックスジェネレーターを付けてみました。
リアに付けた時より直進安定性は少し改善し10%改善、
でもやはり空気抵抗10%増大と感じました。
いずれも車体上面に付けると空気抵抗が増えてしまうようです。
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今度はフロントスポイラーを作ってみました。
材料はダンボール(笑)で黒いガムテープで取り付けてあります。

走ってみたんですが、走行フィーリングは最悪でした。
たしかにフロントにダウンフォースが多少発生しているようですが、
それよりも空気抵抗が物凄くて車が全然進みません。

体感的には空気抵抗50%増加、
フロントダウンフォース30%増加ぐらいでしょうか。
あんまり酷いのですぐに外しました・・・。
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あまりやりたくないですが、同じものをリアバンパーに取り付けて
リアスカートの空力実験をすることにします。
まあ、結果は見えているような気がしますが・・・。

テスト結果は空気抵抗25%増加、
リアのダウンフォース10%増加です。
相変わらず空気抵抗で車が進まず走行フィーリングは悪いですが、
フロントスポイラーに比べると空気抵抗が半分ぐらいなので
何とか我慢できる感じです。
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テストにちょうど良さそうなスポンジを100円ショップで見つけたので、
両面テープで貼り付けて実験してみました。

まず、サイドミラーの下あたりに付けてみます。
「ほとんど効かないだろうなー」と思っていたんですが、
思ったより良くて直進安定性10%改善、空気抵抗5%増加ぐらいの感じです。
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次にフロントバンパー横にスポンジを付けてみます。
ビックリしました。これ凄いです!!
カナードと同じように素晴らしい直進安定性が得られました。
70キロから効果を発揮し、わずかですが空気抵抗も減っている感じです。
直進安定性30パーセントの大幅改善、空気抵抗5%改善ぐらいに感じました。

ただ、この場合空気抵抗が改善されたのではなく、
直進安定性が改善されて車が蛇行しなくなったせいで
走行抵抗が減った可能性もあります。
どちらにせよ走行中の抵抗が減りました。
修正舵が必要無くなったので、運転も凄く楽になりました。
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今度はカナード風に斜めに貼ってみました。
これも大変フィーリングが良く、直進安定性は40%の大幅改善、
ダウンフォース15%増加、ただ空気抵抗は10%ぐらい増加したようです。

このように角度をつけて貼り付けると、ハンドルが少し重くなるのを確認しました。
外すと軽くなるので、フロントにダウンフォースが発生しているのは間違いないようですが、
柔らかいスポンジが車を下に押しているとは思えません。

おそらく、この突起をきっかけにして車体周りの空気の流れが変化し、
ボディのどこかでダウンフォースを受け止めていると思われます。

もしかしたら、フロントタイヤ横を通過する空気の流れに変化が生じ、
タイヤハウス内の圧力を下げているのかもしれません。
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最近のトヨタ車に採用されているテールランプ横に貼り付けてみました。
早速走ってみると凄いです。空気抵抗が気持ち悪いほど減りました。(笑)

感覚的には空気抵抗20%改善ぐらいのフィーリングです。
今まで通りのアクセル開度だと、前走車にぐんぐん近づいてしまうので少々焦ります。
直進安定性の改善などは特に感じられませんでした。
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リアバンパー横に貼り付けてみました。
これも大変良く、やはり空気抵抗20%改善と言うフィーリングです。
まるで下り坂のように少ないアクセルでぐんぐん進みます。
おそらく燃費も良くなると思います。
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今度はボディ後端に沢山付けてみました。
これは凄く効果があるんじゃないかと思ったのですが、
付ければ付けるほど良いものではないらしく、あまり空気抵抗は減りませんでした。

もしかすると、もっと小さい突起ならば沢山付けていいのかもしれませんが、
まだ検証出来ていません。
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上下に離して2つ付けてみました。
これで空気抵抗20%ぐらい改善されたまま、
安定性15%アップぐらいのフィーリングになりました。
これが一番良いように感じます。
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フロントバンパー横のデバイスを一つにしてみました。
二つの時と変わらず、これでも十分な効果があります。
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さて、今回行ったの一連の実験の結論です!

最良と思われる空力デバイスは、
フロントバンパーの横に一個、後端に二個の突起を付けることです。
これでまるで違う車のように高速道路で真っ直ぐ走るようになり、
空気抵抗も減るのが実感できます。
 
特にフロントバンパー横に付けられる突起の効果は絶大で、
「これが付いていないプリウスでは高速道路を走りたくない」と思わせるほど
直進性が大幅に改善されます。

注意)今回の実験はプリウスで行っていますが、
車が異なると最適な空力デバイスの位置や形状が 異なる場合があります。

更に進化した空力実験その2も御覧くださ い。
http://sekiai.blogspot.jp/2015/08/blog-post_17.html