Atlantis-III DL(SAL)
 

***図面はこちら>>>
   
全長        :1100mm
全幅        :1500mm
主翼面積 :23dm2
主翼翼型 :AG04
胴体材質 :カーボンケブラー混織+カーボンパイプ
主翼構造 :スチロールコアバルサプランク+フィルム仕上げ
尾翼構造 :バルサベニヤ+フィルム仕上げ
全備重量:約240g
翼面荷重 :約10.8g/dm2
材料費 :約15000円位?
 
今まで毎週のように飛ばしていたAtlantis-IIは、度重なる無茶のためボロボロになってしまっていたので
まったく新設計でハンドランチを作ろうと思いました。
そこで、最近かなり話題になっている翼端投げ(DL)専用機にすることにします。
DL(SAL)機は手投げするだけで40mも上がり、
上昇気流がまったく無い状態でも90秒〜100秒も飛んでいるそうです。

もしこれが実現できたら抜群に楽しめる機体になりそうですね。
ショックコードを準備しなくても同じ位の高度からスタートできるんですから!
まあ、素人の自作ですからそんなに性能は出ないと思いますけどね・・・ (^_^;)

今回作る新作ハンドランチAtlantis-IIIはFireworksをお手本にしています。

DL(SAL)で投げると手投げ直後はどうしても激しいヨー回転と横滑りが発生します。
このヨー回転は出来るだけ素早く止めなければなりません。
Chris Kaiserさんの研究データを見ても、獲得高度に大きな影響があるみたいです。

翼端投げ専用機の長いテールは垂直尾翼の風見効果を上げるためです。
手投げ直後の横滑り時に余計なロールしてしまわないように、上反角は小さめなのでエルロン機になりました。
しかし、個人的にはラダー機が好きなので、あとでラダー用の翼も作ろうと思います。
垂直尾翼が下にも突き出しているのも、同じくロール防止のためです。

翼型はChris Kaiserさんの研究データによるとAG04が
最も獲得高度に有利らしいので、これを採用しました。

手投げ直後の横滑り時の抵抗を少しでも小さくしようと思ったため、
胴体は上下に大変薄く、主翼と出来るだけ一体化する形状をしています。

私はスロープで荒っぽい使い方をしたりするし、ハンドキャッチもへたくそなので、
多少重量が増えても頑丈に作ることにします。 私にとってこれはとても大事です!(笑)

模型飛行機の解説本を読んでみると、どれを読んでも「楕円翼が一番抵抗が少ない」と書いてあったので、
今回は楕円翼を採用しました。

翼端には微妙にカールダウンが付いています。
私は今まで色々な形の機体を飛ばしてみて、カールダウンを付けると浮きが良くなる機体がいくつかありました。

これで私がイメージしたことは、
「翼端のカールアップ、カールダウンともに誘導効力を減らすが、
低速時の浮き重視はカールダウンの方が良くて、
高速時の抵抗減重視の場合はカールアップにすると良いのでは?」と感じました。
(まったく個人的な思い込みなのであしからず・・・ (^_^;)

ハンドランチグライダーは模型飛行機としては滑空速度が遅めのため、今回はカールダウンを採用しました。
これは手投げ直後のロール防止の効果も少しあると思います。

この機体の翼には強いテーパーが付いている上に、楕円翼なので翼端失速を防止するため

後縁に前進角を付け、翼端に1度のねじり下げを付けてあります。
    
機体製作



翼の製作


パソコンでテンプレート用の型紙を作り、印刷します。


1.2mm航空ベニヤにのりで貼り付けカッターで切り出します。
 
このあと端面を爪で引っかいてみても絶対に引っ掛かりが無いように、良く磨いてください。
瞬間を染み込ませて磨いたり、濃い目の鉛筆の芯をこすり付けて滑りを良くする方法もあります。



 


翼の寸法を元に、ホームセンターで買ってきた発泡スチロールの板を切り出します。
前後上下左右がわかるようにR上↑R下↑、などと書いておきます。


私は切断にバンドソー(糸ノコみたいなやつ)を使っていますが、
このように電熱線を使い、弓の重量で垂直に切ることも出来ます。


 
マチ針でテンプレートを固定し、自作半自動カッターでコアを切ります。

このとき、ちょうど[月刊RCエアワールド]さんの取材を受けました。
2002年4月号151ページに記事が載っています。 o(^-^)o



 
まず下面から切っていきます。
(注) 前縁から後縁に向かって切ること。

今回の発見!
支点をテーブルの半分位まで下げた方が、翼のテーパーに対する熱線の動き方が
より良いことがわかりました。



コアを全部切り出したら、翼端を楕円形に丸く薄く成型します。
イメージはスピットファイヤーじゃ!(笑)


今回の機体は一段上反角なのでこの時点で内翼と外翼を接着しました。
(ネガティブシェルも同じように接着)

木村バルサさんに「競技用ハンドランチのプランクに使うので、最も軽くて上質な1mmバルサを下さーい!」と、
注文したら、こんなに大きな一枚板のバルサが届きました。 これは使いやすくていいですね!


プランク用にバルサを翼の形に切り出し、滑らかになるまでペーパーがけをします。
  



プランクにはスプレーのりを使います。
ザラザラの表面より滑らかな方がより密着するだろうという考えで、
発泡コアに600番か800番位のペーパーを軽くかけました。
左が滑らかにした方です。


今回の機体は強度アップのため、翼端ギリギリまでスパーを入れることにしました。
よく切れるカッターの刃で(プロ用黒刃)スパー部分で切り離します。
左右でスパー位置がずれてしまわないように注意!
今回は結構ずれてしまってしばし呆然・・・(笑)



スパーは3mmヒノキ棒です。
この機体は翼端に凝ったカールダウンが付くために、先端にはスパーが入っていません。
カーボンロービングで補強するつもりです。




持つ方と反対側の裏面にアンテナを通すためのチューブを埋め込みます。
いつもはノイズレスチューブを使うのですが、軽量化のため今回は絶縁用収縮チューブを入れました。
(この長さで1g位?)


カンザシ部分が入るための溝を付けています。


 
手投げする翼端の補強用に、カーボンケブラー混織クロスをビニールで挟み、
エポキシ樹脂を染み込ませて、カードなどであらかじめ塗り伸ばしておきます。
この樹脂は東急ハンズで買ったブレニー技研のGM-6600です。


 
プランク直前にスパー上にカーボン+ケブラーロービングをエポキシで貼り付けます。

翼端補強用のクロスはビニールごとハサミで切ります。
ビニールを片面剥がしてバルサに置き、その後もう一枚のビニールを剥がすと
あまりほつれず綺麗に貼れます。

3Mのスプレー糊77を吹いて片面ずつプランクしていきます。
  

後縁にマスキングしているのはあとでタイトボンドで接着しようと思っているためです。



    
  張り合わせた後、雑誌などで重石をして2日位待ちます。


上面に三角のブロックを挟んでカールダウンをつけています。



 
乾いたらバルサの前縁材をセメダインCで付けます。



型紙を印刷して翼型をチェックしながら、240番位のサンドペーパーで全体を綺麗に成型します。
グライダーは翼の出来で性能のほとんどが決まってしまいますから、
魂を込めて!(笑) 丁寧に磨き上げます。


後縁はギリギリまで薄くしました。(0.5mm〜0.2mm)

私はサンディングに、
厚さ5mm位のスチレンペーパーにのり付きサンドペーパを貼り付けて使っています。
スチレンペーパーは適度にしなるので大きなRによくフィットします。

更に400番>800番>1200番を軽くかけると、驚くほどツルツルになります。




エルロン部分をカットしました。
端面にエポキシをすり込んでおくと、ネジリ剛性が格段に上がります。



尾翼の製作
尾翼はネジリ剛性を上げるため1mmバルサを組み合わせてベニヤ状にして作りました。
(これはスロープをフルスピードで飛ばしたいためです)


型紙を作ってバルサ切り出します。
二枚は横方向、一枚は前後方向です。


スティック糊「シワなしPIT」で二枚を貼り付けます。
雑誌などに挟んで乾くのを待ちます。

繊維が前後方向のバルサを楔形に削ります。(後縁はなくなる寸前まで)

もう一枚をその上に貼り付け全体を翼型形状に仕上げます。


後縁は大変薄いです。ノギスで測ってみたら0.2mm以下でした。
これを通称「自己満足!」と言います。 (^_^;)

予定通り、ネジリ剛性はかなりあります! o(^-^)o



胴体の製作


胴体前部はCFRP(カーボン)で作ることにしました。

まずメカをレイアウトしてテープで止めてみます。

今回の機体は胴体内に4つのサーボが入ります。



紙の上に置いて見て適当にスケッチを書きました。
「胴体をデザインするのはとても楽しい作業ですね!」

独自の理論勝手な解釈?による超薄型の胴体。(笑)
ハンドランチには珍しい中翼方式で、主翼は胴体にブレンドされるデザインになっています。



バルサブロックを二本使い平面形に切り出します。




側面も同じく成型します。



張り合わせる部分に黒マジックを塗っておくと、削っていく時に中心が分かりやすくてお勧めです。


形を見ながら丸く削っていきます。
ウイングにマスキングした後、仮止めして滑らかに繋ぎます。
大体形が出来たら、アセトンで薄めた2液性のパテ(ポリパテ)を全体に吹き
120番のサンドペーパーで仕上げます。

変な形! (笑)



裏面です。

400番位までかけて綺麗にしました。
どうせ1個しか作らないので、この辺でやめて型取りします。


離型ワックスを5回ほど塗ってツヤが出るまで磨きます。
面積の広い下面から型取りします。この時必ず抜けにくい方から行ってください。
これは他の部分を型取りしている最中に、マスターから外れて隙間が開かないようにするためです。

上下に分割するため1mmエンビ板でパーテーションを作り、ホットメルト接着剤で仮止めします。
ホットメルトが無い場合は5分型エポキシ接着剤でも可
今回はやっていませんが、マスターにマスキングをして接着していくと良い。



PVA(ポリビニールアルコール)と言う離型剤をスポンジで塗ります。
PVAを塗るときはスポンジハケが使いやすいです。
ホームセンターにあります。




出来上がった製品は型から取り出して接着する予定ですので、
位置決め用のノックピンはいりませんが、一応粘土を丸めて半分に切ったものを置いてみました。




ポリエステル樹脂で型取りします。積層は厚手のマット(600番)1枚で十分です。
エアロジルと樹脂を混ぜてマットが沿わない所に塗っています。
張り込む前に製品部分にも薄く塗ってゲルコート代わりにしています。
色つきゲルコートを使わないのは、カーボンを貼ったとき裏から気泡を見るためです。
促進剤を大量に入れたので黒っぽくなっていますね。




エンビ板と粘土を取り、粘土の穴は抜けやすいように角を取りました。
ちゃんとした型を作るときには、ここでキャップボルトやトラスねじを使ってテーパーに削ったものを、
ノックピンとしてねじ止めします。
ワックスとPVAをきちんと塗っておきます。




上の面を同じように貼ります。
うわー真っ黒け。 (^_^;)




脱型したところです。
800番で水研ぎしました。



  
開口部に段差が必要なので、ガムテープを二枚重ねて貼ってあります。




製品にウイングボルト用のナットを埋め込みます。
型の下側に穴を開け、ワックスを塗ったねじで仮止めします。


エポキシで積層します。
この樹脂も東急ハンズで買ったブレニー技研のGM-6600です。

カーボンケブラー混織クロス2枚重ねです。
前後方向になるべく強くしたかったので、繊維を斜めに使い、前後にかなり引っ張った状態で貼りました。



 
2枚のクロスの間に補強のためカーボンロービングを貼りました。



 
エポキシが半硬化の時にカッターの刃でカットします。
内側から外に向かって力を入れるように切ること。




完全に固まったら型から外し、開口部に穴を開け
端面を綺麗にペーパーで仕上げます。
胴体先端部はスポンジにしようと思っているのでカットしました。




テールに付くカーボンパイプをあててクランプします。




上下をセロテープで止めます。
カーボン板のハギレを使って、先端の穴の蓋にすることにします。




ビニールで挟んだカーボンクロスにエポキシを染み込ませて、テープ状に切り、
上下を接着するように貼りこみます。
貼りやすいように先端の蓋は、まだ付いていません。

最後に蓋をセロテープで付けて裏から貼りこみます。




開口部(キャノピー?)はガラス繊維で半透明にしました。
ここからバッテリーチェッカーのカラフルな光が見えるはずです。  o(^-^)o




硬化促進のため熱をかける時には、炎天下の車の中が一番良い。
電気代がかからないもんね! (笑)




サーボは耳をカットしました。
このサーボはコードが下から出ていたので、横を向くようにカッターで穴を開けなおしています。
サーボを両面テープで一まとめにレイアウトし、コードはスーパーXを点付けで暴れないように止めています。




カーボン板のハギレでプレートを作り、サーボを両面テープで止めます。
このプレートを胴体にビス止めすることになります。




受信機が入っていた箱のスポンジを切って先端部を作ることにします。
カッターで大まかに切って、ペーパーで丁寧に成型します。




メカを入れてみたところです。ギリギリですね!


クリアーのキャノピーを通してLEDが光って、ちょっとカッコよかったりする! o(^-^)o


キャノピー裏面を少し磨いてスモーククリアーを塗り、超小型のスイッチを付けました。



翼のフィルム貼り


  
エルロンがスムーズに動くように位置を決め、セロテープで数箇所止めます。
裏面もマスキングテープで仮止め。




補強のため、エポキシを塗ったカーボンとマイクログラスを用意します。



上面のネジが付く部分をカーボンでまず補強。
エルロン付け根のヒンジ補強のため、ケブラー繊維をスーパーXで付けています。




ネジが付く部分の上から、また補強しました。
左右に伸びている形状はその部分にスパーがあるため。




グリップ部分はマイクログラスで補強しました。
昭和記念公園に見学に行った時、翼端をそのまま掴んで投げている人が
結構いたのでバーは廃止しました。
滑るようなら両面テープを貼ったり、スーパーXを薄く塗ろうと考えています。



エポキシが固まったら、上面にクラフトるうむのウエットフィルムを貼ります。
翼端補強部はオラライトクロームを貼りました。



この時とても良いアイディアを思いつきました!
フィルムを上面だけに貼った状態だと、後縁を極限まで薄くできます。
あとはそのまま下面にフィルムを貼ればいいですよね。
  
後縁の厚さが無くなるまでペーパーで尖らせました。
こんなことまでする人は私ぐらいしかいないかも・・・? (^_^;)へへ

光が透けて見えます。 後縁の厚みは測定不能です!(笑)




補強のため翼端まわりにカーボンケブラーロービングを貼ってあります。
この作業はフィルムを貼る前にやるべきでしたね・・・


 
裏面の補強をします。 マジックペンを置いているのはカーボンパイプの逃げのため。

裏面グリップ部分にマイクログラスで補強。



次の日、裏面のフィルムを貼ろうとしたら
今日の午前中はなぜか雨、日ごろの行いが悪いのか?(笑)
後縁が反ってきたのでアイロンで修正しています。
バルサはアイロンがけで平らになることを、この時発見しました。




裏面にも同じようにフィルムを貼って、後縁部分を3mm残してカットします。
ヒンジはフィルムが受け持っています。
裏面エルロンの溝のフィルムもカットして動くようにします。



 
見て、見て、ピカピカの翼!バルサ翼の限界に挑戦しましたぁー。o(^-^)o



尾翼の仕上げ


 
垂直尾翼をマイクログラス+カーボンロービングで補強します。




動翼部分を切り出して片面にフィルムを貼ったあと、
やっぱり研ぎまくりーっ!




前側はオラライトクローム、後ろは熱収縮型のフィルムを貼ると歪んでくるため、
クラフトるうむのウエットフィルムを貼りました。



  
垂直尾翼を接着するため、フィルムを剥がします。
パイプに切れ込みをクサビ形に入れて、エポキシを塗り無理やりクランプします。

パイプをそのままカットするよりも抵抗が少ないはずです。



 
水平尾翼用パイロンをバルサブロックを削って作ります。
マイクログラスを被せて低粘度瞬間を染み込ませて固めました。



テール周りのリンケージはFireworksのように
PEラインを使った片引きのワイヤーリンケージです。(反対側は輪ゴム)
  
エレベーターホーンがパイプ内にある構造にしたため、糸通しはメチャクチャ大変です!
誰だこんな設計をしたやつは! (笑)
 
上から見たところ          下から見たところ
エレベーターのリンケージはほとんど見えなくなります。

(エルロンホーンも含め、ホーンは全て翼断面形状に削ってあります。)


エルロンリンケージのため、極小クレビスを4個自作することにします。

0.8mmと0.3mmのピアノ線を同じ長さに切り、
中央部を電気コードの銅線を使って束ね、ハンダ付けします。
中央部だけ付くようにするため、間に紙を挟んでいます。
(必ずフラックスを塗ってからハンダ付けすること)

0.8mmピアノ線を直角に折り曲げて中央部で左右を切断します。

カーボンロッドに糸で巻いて取り付け、最後に瞬間を垂らして固めて
糸を根元で切ります。


エルロン側の写真。


  
主翼を取り付けた後、セロテープで段差を覆っています。

空気抵抗を減らすため、出来ることは徹底的にやるのだ!(笑)
       
              
完成!
機体を組み立ててみて、ちょっと驚いたことがあります。
この機体、なんとも異様なオーラが出ています。
今までいろんな飛行機を作ってきましたが、こんなこと初めてです。  (^_^;)

前作のハンドランチAtlantis-IIと比べるとかなり大きいですね。
まるで大人と子供です。

これだけ大きいんですから240gあるのも仕方ないですね。

こうやって見ると、いかにも最新鋭機と言う感じでカッコいいかも。

       
インプレッション
まず、飛ばして見て最初に感じるのは圧倒的な抵抗の少なさです。
1号機や2号機と比べると、体感的に限りなく0に近い感じがします。


セッティングや操舵に非常に敏感で、精密機械を操るような感じがあり、
操縦は大変難しいです。
今までハンドランチで経験したことのないシャープな飛びかたです。
例えるなら、シャーレ翼のミニエリプス等をもっと鋭くして、重量を半分にしたフィーリングです。
風が強い日でも飛ばせる反面、弱いサーマルではなかなか上がっていかないところがある。


ランチ時の獲得高度はやはり非常に高い。 (30M位?)
DL(SAL)専用設計のため、何も考えずに思い切り投げても
内側に巻き込むことなく真っ直ぐ上がって行きます。
胴体が非常に長いので、手投げ直後のテールの収まりも大変良い。


隙間を徹底的に塞いだ為か、DL(SAL)で投げたときの独特のキューンという音が無く
まったくの無音で上がって行きます。

速度が早くて非常に薄い機体のため、
距離感がつかめずハンドキャッチはかなり怖いです。  。。。(^_^;)


滑空比は素晴らしいが、沈下率はあまりよくないかも?
重量があるし、翼型もスピード重視のためだと思います。
フラップを下げると少しは良くなります。
早朝の完全に無風の時間帯に飛ばし、ストップウォッチで計ってみると
60秒程度滑空します。 (一番良い時で70秒)
セッティングをもっと詰めてランチも上手くなると、あと10秒位は伸びるかもしれません。
良い滑空比と高いランチのおかげで、非常に遠くまで自在に
サーマルを探しに行くことが出来ます。


私はヘタクソなので上手く出来ませんが、強風の中でウエーブを渡り歩くことが得意なようだ。
(外国の競技会では、ほとんどがエルロン機なのはこのせいかもしれません。)


翼端失速対策を色々盛り込んだため、低速で粘っても突然コロッといく事は無いようです。
この部分は大成功!


この機体は翼端のバーやグリップがまったく付いていませんが、
翼をそのまま持って投げても、そんなに手が滑るような事は無いようです。
両面テープを貼ったり、スーパーXを薄く塗ると更にグリップ感が良くなると思います。

両面テープを貼ったところ

しかし、朝露などで水に塗れるとかなり滑ります。
地面が濡れている時は、翼の上面の指が来る位置に
指を掛けるためのバルサ棒等をガムテープで貼ると滑らなくなります。

結局これが一番いいようですね。



片引きのワイヤーリンケージはとても不安でしたが、
普通に飛ばしている限りは問題ないようです。
しかし、エレベーターダウンを輪ゴムのテンションでやっているので、
逆宙返りは出来ないようです。
常時ゴムのテンションが少しかかっているので、電池の消耗は比較的激しいと思われます。
(今回は高容量のCR2を使っているので、これはあまり問題にならないはずです。)


エルロンの大部分が中央部よりにあるので反応が少し鈍い。
ロールで1回転しようとしたら、回転が遅すぎてまっさかさまに墜落した!  (^_^;)


エアブレーキはとても便利。(たいへん良く効きます)
サーマルをうっかり逃がした時にも素早く手元に戻してきて、
またそのサーマルめがけて投げ入れることができます。

フライトムービー












(大変風が強い日でした)
総評
この機体は今まで私が自作したグライダーの中では、最も高い性能を持っています。
素人の自作でこれだけ良く飛ぶ機体が出来たんですから、
私は大変満足しています! o(^-^)o
  
       
セッティングその他


少し重心が後ろ過ぎるようなので、尾翼を軽量化しました。


重心調整は最初から尾翼でやろうと思っていたので、水平尾翼は少し大きめの設計でした。
型紙をあてて大胆にカット!


穴だらけにします。
  
DL(SAL)機にとって垂直尾翼は重要なので軽量化は控えめです。

こんな感じになりました。



後縁用のケース製作?
  
大事な主翼後縁の変形防止のため、5mmスチレンペーパーの後ろを貼り合わせてケースを作りました。
後ろから主翼に挟みます。

 
普段はこんな感じでぶら下がっています。

      

今後の課題等


今回使った翼型(AG04)は抵抗が大変少なく、スピードタイプのためDL(SAL)の獲得高度に有利と言うことで採用しました。
しかし、沈下率はよくありません。すぐに降りてきてしまいます。
仕方がないので常時フラップを下げて滑空していますが、これではちゃんとした性能が出るはずがありません。
やっぱりハンドランチにはS4083の方が良いと思います。
私が次にDL(SAL)機を作る時はS4083を使うと思います。

初めてエルロンハンドランチを作りましたが、
噂どおりエルロン機は低速での舵の利きが大変悪く、極端に言うとノーコンのようになります。
そのため、低速時は必然的にエルロンを大きく動かさなければならないのですが、これは大きな抵抗になります。

さらに悪い事に、もっとも大事であるはずの翼型を大きく変えてしまい、
翼の空気が剥離するためか、かなりの高度をロスしてしまいます。
失速ギリギリの速度で、旋回を繰り返さなければならないハンドランチグライダーにとって、
やはりエルロン機は向かないように思えます。重量も増えますし・・・。

それから、グライダーで低空の小さなサーマルに乗せるため急旋回をすると
非常に深いバンク角になり、ほとんど垂直に傾く状態になります。
こんな時でも上反角の大きいラダー機の主翼では、サーマルを受ける面積がある程度確保されます。

しかし、ほとんど真平らの翼を持つエルロン機で、ナイフエッジ状態では
機体を持ち上げるだけの面積がないためか上がって行きません。

そのため、ほとんど機体を傾けない旋回をしなければならないのですが、
旋回半径はどうしても大きくなり、小さいサーマルに乗せるのは困難です。
(これは単に私が上手く操縦できないせいかもしれません・・・ (^_^;)

でも、高速で飛ばすスロープではエルロン機に限りますね!
横風にも大変強い機体です。o(^-^)o

次に作るとしたら、クラフトるうむのドラゴンレディをお手本にしようと思います。
craftroom
この機体は世界一のDL(SAL)機だと私は思います。
私のアトランティス3は60秒程度の滑空時間ですが、
同じ位の獲得高度のドラゴンレディは1分30秒~40秒も飛びます。信じられません!
また大きな目標が出現してしまいましたね。 (^_^;)汗汗
 

  
フラッター対策


ランチが上手くなって投げるスピードが上がったせいなのか、機体にガタがきたせいなのか、
急上昇中に色々な所からフラッターが起きるようになって来てしまいました。

良く見ているとエルロンが震えているようなので、
マイクログラスで強化する事にします。
今回は見よう見まねでバキューム製法を使って見ました。
バキュームポンプは家の脇に付いていたトイレの浄化槽用のブロア(送風機)です。




吸い込み口に熱帯魚用のホースを差し込みます。
テープを巻いて太さを合わせています。


バキュームの準備をします。
テーブルにマスキング用にビニールを敷いて、
周囲から空気が抜けるように麻ヒモをテープで止めておきます。


ビニールにマイクログラスを置いて樹脂を薄く含ませ、エルロンの上に置きます。


周りをテープで塞ぎ、ホースを入れてポンプを回します。
すると、見るみるペッチャンコになっていきます。(これは結構面白い!)
布団圧縮袋と同じですね!


私は「バキュームをかけると勝手に綺麗に気泡が抜けるもの」だと思っていましたが、
そうではないようですね。中心部分の気泡は抜けません。
ヘラでしごき出しました。

麻ヒモの近くは真空状態になりますが、ヒモから離れた所は
樹脂があるためにそれ以上吸うことが出来ません。

これはやり方が間違っているのかもしれません。
分かる方は是非教えてください。 (^_^;)

後日間違いが判明しました。Atlantis-5のページをご覧ください。>>>




硬化促進はいつものように炎天下の車の中で。




片面が終わったところです。
マイクログラス一枚は、大体オラカバ位の厚みになるみたいですね。

同様に裏面も貼りました。




端面はカーボンロービングを薄く貼りました。
ネジリ強度を上げるためにここを固めることは重要です。
端面を固めると、ねじった感じでは2倍位になるみたいです。


テストランチをしてみると、どうも尾翼もフラッターを起こしているようです。
しかし、グラステープを貼って強化してみたり、ゴムのテンションを上げてみたり
色々やってみましたが、まったく変わりません。

試しにエアガンで早い風を送って簡易風洞実験をしてみたところ、テール部分全体が震えるようです。
もしかしたら、カーボンパイプの強度不足かもしれません。

いまさらパイプの変更は出来ないので、駄目元でガムテープをギザギザに切って、
タービュレーター(整流テープ)を付けてみました。

これがなんと大当たり!フラッターが殆んどなくなりました!
まったく飛行機って奴は本当に謎だらけですねっ!
さらに、これによって機体全体の抵抗が
かなり減ったように思えるのは気のせいでしょうか?(^_^;)


今はこんな状態になっています。重くなるのでテープを細くしました。

 2002/3/3

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