玉虫型飛行器の復元RC機 |
このたび、ひょんなことから讃岐ウィングスラジコンクラブの近藤さんと、 二宮忠八氏の玉虫型飛行機を復元RC化するプロジェクトに私も参加する事になりました。 私が小さな実験機を作り、それを元に近藤さんが本格的なエンジン機を作る事になっています。 二宮忠八氏は100年以上前に独自の理論で飛行機を研究していた偉大な日本人です。
この機体について詳しくは讃岐ウィングスラジコンクラブのホームページの二宮忠八翁のページや、
数年前に日大理工学部航空宇宙学科の研究で作られた復元RC機や、
ですから、オリジナルの形で飛行に成功すれば
上のキャプチャー画面は図面データを取るためメタセコイヤで写真を3次元トレース作業中のものです。
それにしてもユニークな形をしています。
まず、垂直尾翼や水平尾翼がありません。
さらに悪い事にラダーが機首!に付いています。 (^_^;)おそろしやー
RC化して飛ばすための壁はまだまだあります。
でも、私はこういう問題の多い機体を、なんとか工夫して飛ばすのが最高に面白いと思っているのです。
紙飛行機による実験 この形態ではたして飛行可能なのかどうか、いつものように紙飛行機を作って実験してみました。
悪い予感は的中しました。
どうしてもテール部分に垂直尾翼が必要なようです。
そこで、考え方を白紙に戻して、
自分でも半信半疑ですが、とりあえず実験してみたところ、
図面 写真を3次元トレースした物をいつものようにキャプチャーし、並べて図面にしました。 RC用に少しだけ変更してあります。 上下翼は大きくネジリ下げを付け、 下翼をオールフライングのエレボンとするため少し後ろに移動し、プロペラにはダウンスラストを付けてあります。
翼型は無尾翼用S字キャンバーのe335を、ゆっくり飛べるように少し厚翼にした形状にしました。
機体の予想スペック
翼の製作 翼は竹ひごを曲げて作る事にしました。
バルサの袋に入れて水を浸し、一晩浸けておきます。
アイロンの温度をいっぱいまで上げて、拡大コピーした図面に合わせて曲げていきます。
リブは竹ひごに固定しやすいように一旦前後縁を延長し、穴を開けてあります。
図面の上でリブの穴に竹ひごを通していきます。
ネジリ下げはビデオテープ一本分です。
スーパーXでリブの接着後、上下翼の不要部分を削り取った状態です。
フレームの製作 図面を元にフレームを組んでいきます。
全体を仮組みしてみました。
なかなか魅力的なスタイルの機体ですね。
この機体は尾翼がないので前後が分かりにくいですね。 (^_^;)
絹張り作業 非常に複雑な三次曲面を張らなければならないので、フイルムでは難しいと考え、
絹を霧吹きで湿らせてドープで張っていきますが、これが思ったよりずっと大変なんです。
ドープを均一に塗るのも大変難しく、どうしてもムラになってしまいます。
絹張りをやってみて気が付いた所を書いておきます。 参考にしてください。
各部を組み立てました。
滑空テスト 滑空テストに成功しました! \(^o^)/ 機首に単三電池一本をガムテープで取り付けて、重りにしました。
もし、当時の二宮忠八さんに援助があり、エンジンが手に入っていたら
メカ積み パワーユニットは、ユニオンのマイクロファンフライ用(130クラスモーター)で、
オリジナルの設計では、前輪がほぼ重心位置にあり
プロペラはU-180を2本使い、十字に組み合わせて糸で縛って瞬間で固めました。
オールフライングの下翼とサーボリンケージの部分です。
テスト飛行が出来る状態になりました。
張り線は釣り竿補修用の糸です。
テスト飛行 今日はあいにく大変な強風ですが、もう待っていられません! o(*^▽^*)o
意を決して、スロットル全開で強く投げてみました。
これは機体の問題ではなく、手投げが下手なせいです。ハイ・・・。
もちろん垂直尾翼がないので、投げる時も絶対ヨー回転を与えてはいけません。
どうしてもうまく投げられず、風もやまないのでグランドで滑走テストをしてみることにしました。
スロットルを徐々に上げ、滑走を始める機体。
何とかだましだまし滑走を続けましたが、いっこうに浮き上がる感じがありません。
テスト飛行2 今日は風がほとんどありません。
今日は河原の土手の上から、下のススキに向かって手投げです。
機体はほぼ真っ直ぐ飛んでいき、5mほど先のススキに引っかかって止まりました。
少しずつ投げる位置を高くしてテストしてみました。
しかし、水平飛行をしようとエレベーターをアップにしても機体は機首を上げてくれません。
どうも、アップにしてもダウンにしてもダウン側に働いているようです。
仕方がないので、とりあえずエレベーターは動かさないようにして、
ところが、重心をかなり後ろにして飛ばしてみても機体は一向に水平になりません。
原因は推力不足にあるのかもしれないので、
かなり巨大なプロペラです。
土手の上から手投げしてみると20mほど飛ぶようになりましたが、
テスト飛行を終えて 今回の飛行実験は一見失敗のようですが、そうではありません。
まだ飛び方を知らないヒナ鳥のようなものですね。
スラスト調整
現場で簡単にスラスト角の調整が出来るように、
動力ユニットは輪ゴムで縛って取り付けました。
主翼の取り付けも輪ゴムに変更しました。
主翼を張り線で支えているので、
下翼の位置は、後縁付近に設計変更していましたが、
テスト飛行3 最近は連日大変な強風です。
エルロンとパワーユニットをチェックして、いつものようにスロットル全開で手投げしました。
さあ、もう一度挑戦です。
しかし強風のせいなのか、機体はすぐに急角度でターンしこちらに方向を変えました。
下が草むらだったので大きなダメージはありませんでしたが、プロペラが一枚折れてしまいました。
前回、水平飛行すら出来なかった玉虫型が、
やっぱり、どこかにエレベータを付けることにします。
なんと、風にあおられただけ・・・ 後日、無風時に飛ばしてみました。
もしかしたら推力不足のせいかもしれないと考えて、
胴体後部をエレベーターとして使おうと考え、サーボを追加して動くように改造しました。
やっぱりだめ・・・ うーん煮詰まってきました。(^_^;)
胴体後部のエレベーターや下翼にあるエレボンを操作しても、
さらに、ダウンスラストを増やしたためモーター位置が下がり、
舵角を大きくして無理矢理傾けようとすると、
どうしてもコントロールできません。 さらに、大きなねじり下げと
こうなりゃヤケクソ?
上翼に大きなエレボンを付けました。
この機体は、ただでさえ浮きの悪いS字キャンバーの翼型のうえ、
そこで、大きなネジリ下げは止めることにしました。
そのままではヨー安定を確保できませんから、
手投げが困難なため、ショックコード用のフックを付けました。
どうしても飛ばない・・・ 私は完全にスランプに陥ってしまいました。 機体は舞い上がるそぶりも見せません。 大きな空気抵抗、揚力不足、操縦困難・・・。
翼面荷重を減らすため、翼を延長してみました。
やっと水平8の字飛行 なんとか水平飛行が出来るようになりました。
しかし、非力で抵抗が大きいため上昇することが出来ません。
しかも、デザインがこんなに変わってしまいました。
翼面荷重を減らすためもう少し大きく作り直して、推力も上げる必要があります。
または、誉ギヤダウン+リチウムイオンで軽量化することも考えています。
誉+リチウムイオンで軽量化
パワーユニットを誉ギヤダウン+リチウムイオンバッテリーに交換し、
さっそく飛ばしてみたところ結果は大変良好です。
重心位置を確保するため、機首に25gの重りを積まなければなりませんでしたが、
こんなことなら、最初から誉ギヤダウンにすれば良かった・・・。(^_^;)
ここまでくると、推力さえ充分ならば玉虫型は飛行できるはずです。
モーターにセロテープでマスキングしてエポキシで仮接着し、マウント部分を作りました。
プロペラ軸を延長してモーターを前方に移動させ、
ついに玉虫型は上空へ!!
ついに飛びました!!
本当はもっと飛んでいるはずだったのですが、
急いで修理をして、夕方二回目の飛行はオートカットが働くまで、
これで、この機体は完全に飛ぶことが確認されました。
翼の改良とエレボンの加工
無理矢理翼を切り欠いて動翼を付けました。
フィルムはオラライトの白です。
パイロット人形「忠八くん」を作る
軽い紙ねんどで人形のパーツを作ります。
パイロットは忠八さんの顔をモデルにしました。
忠八さんは、玉虫型を軍の偵察機にしようと思っていたらしいので、
人形の体重は2gです。 軽いでしょ! o(^-^)o
機体に乗り込んだところ。
下からのアップ
各部の仕上げ
機首にあるメカなど。
ラダーは1mmスチレンペーパーで作りました。
完成!
世界で初めてオリジナルデザインのまま飛行可能な玉虫型の
結果的にメカがほとんど見えない位置になったのは、うれしい誤算です。o(^-^)o
特徴的な楕円翼の複葉無尾翼機。
翼端を手に持って、飛行中のように見える写真を撮ってみました。
2003/1/20 |
世界で初めて飛行に成功した玉虫型の飛行シーン!
2003年11月3日、二宮飛行神社大祭にて
また、2005年4月29日には京都の飛行神社にも奉納されました。
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雑誌Newtonに掲載されました! Newton2009年5月号と、航空機のテクノロジー (Newton別冊)に 特集記事とインタビューが掲載されました。 |
讃岐ウィングスラジコンクラブ近藤さんによる 素晴らしい仕上がりの玉虫型(エンジン機)の記事もぜひ見てくださいね。
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私と近藤さんの玉虫型飛行器の復元RC機は、 2006年9月10日まで高松空港の出発ロビーに展示されました。
2008年度の高松空港二宮忠八再現飛行器展 |
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RC界のアイドル絵理奈ちゃんが RC航空ページェントで玉虫を飛ばすと言うことで、私も駆けつけました。 この機体は、私が作った試作機を元に 近藤さんがちょっとだけ大きく作り直したもので、 最新のパワーユニットを搭載し、格段に高性能になっています。
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