第1回静岡HLG大会 2002年9月22日 
    
      
         
競技志向のハンドランチグライダーを飛ばす人は、大まかに分けると
関東では昭和記念公園大会に集まるグループ、
そして、関西ではクラフトるうむを中心に飛ばしているグループに分けられます。
両者は距離が離れているために、いままで一堂に集まって競技を行うことはありませんでした。

今回、初めて東西の中心である静岡でハンドランチ大会が行われたため
関東、関西ともに非常に多くの競技者が集結し、地元の静岡組も交えて

前例のないほどの盛り上がりを見せ、白熱した戦いを繰り広げました。


 
開会式では主催者の開会宣言と競技の説明が伝えられます。
 
東西から終結したハンドランチのトップフライヤーたち。



ドラゴンレディX

今日の大本命、岡本さんの愛機「クラフトるうむ製ドラゴンレディX」です。
おそらく静岡大会に向けて開発してきた機体でしょう。
どこを見てもきっちり仕上がっていて、かもし出す雰囲気はまるでレーシングマシンです。
翼の内部にX状にカーボン補強が入っていました。
今回新たに加えられた後退角に注目。


尾翼の剛性も非常に高い。

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大薗さん親子の機体を初めて拝見できました。
この機体の飛行が見られただけでも、
自作派の私にとっては「行ったかいがある」と言うものです。


この機体の持つオーラは
写真ではまったく伝わりません。
とても綺麗な仕上がりをしていて、
工芸品のような機体です。まさに職人技。

信じられないほど薄い翼で、ランチ後
パイロン機のようなスピードで上昇します。
とてもリブ組み機とは思えません。 
翼型はAG09だそうです。

スピード重視の翼型ですが、
その軽さのため沈下もとても少ない機体です。

「エルロン機は低速での運動性が悪くなりませんか?」という質問をしたところ、
「機体を小さく軽く作ればクイックに舵が効きますよ。」との答え。私は目から鱗がポロッと・・・。(笑)

バルサ製の胴体ポッドは極限の細さです。
内部は受信機とバッテリーのみ。
フィルム張りではなく、ドープのようなものを表面に塗って固めているように見えました。


この胴体の無いHLGは私の一番のお気に入りになりました。
サーボも受信機もバッテリーも全部翼の中に内蔵されています。
小さくて非常に軽く、DL(SAL)で矢のように上昇し
紙飛行機のように飛び回ります。
少々落としても胴体が折れる心配なし。
エレベーターの連結をカーボンロッドで行っています。
勉強になりますね。
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加納さんのピット、
いつもの自作機の他、新しくHighlight DLGも見えます。


 
冨田さんは通常機のスペクターでオープンクラスにも出場しました。

冨田さんは日本で最初にハンドランチグライダーを始めた人の一人です。
大変な努力と説得の末、国立公園である昭和記念公園で
ハンドランチグライダー大会を開くことに成功し、今に至ります。
ジョーワーツを日本に招いたのもこの人です。

冨田さんは実は現役の自転車選手で
身体能力は圧倒的、通常機でもDL(SAL)なみの高度まで投げ上げることが出来ます。
ファイヤーワークス2を注文済みだということで、この機体が届いたあとは
冨田さんのファイヤーワークス2が、間違いなく関東で最高のランチ高度になると思います。


通常クラス予選

いよいよ競技が始まります。

まずは通常ランチクラスです。
早く降りた人から順に点数が加点され、点数が少ない方から決勝に進めます。
選手一人一人に旗を持ったジャッジが付き、
機体が静止した時点で番号をコールし集計に伝えます。


 
3. 2. 1 ハイ!!

一斉に急上昇する機体たち。

 
さすがに皆上手いですね。
サーマルがあった場合、それに乗り遅れる人はまずいません。



山梨の時田さんです。
RCを6月頃から初めて、HLGは8月からの初心者だそうです。

奥はEVO2を投げる上野さんですよね。




ベテラン流郷さんの自作リブ組み機。


RCエアワールド誌の表紙を飾った超有名人
群馬の木村さんです。

   
ジャッジをする木村さん。


岡本さんは通常投げでも凄い高度ですね!
機体はスプリント。


 

 
ギャラリーの上を超低空で飛んでいますが、岡本さんの操縦ならば
こんなに近くを通過してもまったく不安はありません。
機体がどんな姿勢になっても完全に自分のコントロール下にあり、
完璧な高度処理できっちりハンドキャッチします。



細長い翼が美しいベテラン横塚さんの自作機。
低速での素晴らしい粘りが特徴的です。

木のスレスレを果敢に攻めます。
ちなみに私はこんな飛ばし方はとても出来ません!



地元組はさすがにこの飛行場で浮く所を良く知っています。
木の前をスレスレで通過し、川原の段差に向かい、
サーマルを探して帰って来るパターンを飛ばしていました。


  
大薗さんたちのリブ組みラダー機
垂直尾翼が下側についているのが特徴です。
息子さんの方が飛ばしていますね。


オープンクラス予選

さて、いよいよ迫力のオープンクラスが始まります。

私は、関東に比べて関西はDL(SAL)をやる人が少ないと思っていましたが、
けしてそんな事は無く、ほとんどの人がDL(SAL)機を持参していましたね。




関西チーム応援団。
アドバイスや野次がガンガン飛びます。とても楽しそうですね。


岡本さんの表情をご覧下さい。


岡本さんは、いつもはこんな感じですがー

競技になると、とたんに厳しい顔になります。
真剣です。 まさに勝負士の顔です。
      
 
岡本さんの凄いランチ!
信じられないほど高く上がります。
岡本さんの周りには、いつもカメラが沢山集まりますね。

    

岡本さん一人だけが、スタートを待たずに早めに投げていました。
本当は早い方が不利なはずですが、岡本さんのランチは非常に高い高度を獲得するために、
あまり問題にならないようです。

いつも他の機体たちの数メートル上空で滞空し、周りの機体の挙動を見ているようでした。



 
 

今、私の一番の注目株。 多摩川杯、昭和記念で連続優勝の小松さんです。
機体はファイヤーワークス2。

皆さん驚いてください。 RC暦なんと1年未満!!
インターネットで偶然私のサイトのサーマルのページを発見して、ハンドランチを始めたそうですが、
すでに国内トップクラスの実力を身に付けています。
恐ろしい人です・・・。
ちなみに私は何度やってもこの人に勝てません。
 
現在、関東では最も高いランチ高度を持っています。
今日のランチがヤケに低いなーと思っていたら、
2ラウンド目のために温存していたそうです。(゚O゚;)凄っ!

私はひそかに、優勝は岡本さんか小松さんだと予想していました。が・・・
 

アクシデント発生!小松さんの機体が木に引っかかってしまいました。


こんな高い木のてっぺんです。
何とか回収できましたが、3点加点されてしまい惜しくも決勝進出ならず。 うーん残念。


   
いつもとても長い距離を走ってランチする信太さんです。
機体は数年前に売っていたテトラ製のMuです。
ちなみに、これは本来DL(SAL)で投げるための機体ではありません。
彼は当時この機体のテストパイロットを請け負っていたそうです。

かなり重い機体のはずですが、意外と浮きが良いのは翼型のせいかもしれません。
今日のランチ高度はいつもの半分位に見えましたが、信太さん独特のランチには、
やはり広大なスペースが必要なのかもしれませんね。


出ました、私のお気に入りの大薗さんの機体。
お父さんの方が飛ばしていますね。
飛んでいる姿はエイリアンの宇宙船のようです。

 
   
 


こっちは胴体ありのエルロン機。


  
私もアトランティス3を飛ばしました。
最初は弱いサーマルをなんとか見つけて調子良かったんだけど、
後半はボロボロでしたねー。  (^_^;)汗
2ラウンド目に賭けたんですが、雨で中止になりあえなく予選落ちに・・・。



あっという間にサーマルに吸い込まれ、小さくなっていく機体たち。
みんなマックスのはずでしたが、なんとコントロールミスで場外になってしまった人が・・・
今日一番の見せ場だったかもしれませんね。
みなさんの高度処理の仕方にも注目。


  
F3J世界選手権を戦う小太刀さんは、不慣れなハンドランチに大苦戦。
こんなはずじゃー・・・。
でもハンドランチなら燃えないよね。 ←ごめんバラしちゃった。(笑)


高速スロープ機をDL(SAL)化した機体です。パイロンレース狙いか?
すみません。お名前を聞き忘れました。



  

沢山のハンドランチが群れて飛んでいるので、
トンビも興味を持ったのか近くまで見に来ました。


  
流郷さんの新作DL(SAL)トレーナー
加納さん方式のリブ組み自作機で、非常に短期間で完成します。
加えて、とても丈夫です。
昭和記念で私のアトランティス3と激突しましたが、
向こうはほとんど無傷、私の方は前縁が3cmも凹みました。 (^_^;)


   
非常に少ない沈下と素晴らしい運動性を見せるドラゴンレディ。
現時点での世界最強の機体か?

ファイヤーワークス2がそれに続きますが、
私が思っていたよりも両者の戦闘力の差は少ないようです。

もうすぐファイヤーワークス3が発売されるようですが、
当然2よりも性能が上がっていると思われ、ドラゴンレディとの対決が楽しみです。

 
これはヨシダさんの垂直尾翼拡大バージョン
ラダー面積も大きく下方に突き出しています。
トビウオみたいでカッコいいですね。


  
集計する大会スタッフは一日中大変な忙しさです。
どうも有り難うございます。
みんな真剣勝負なので責任も重大ですね。



横塚さんの自作機インターセプター
翼型はS4083、グリップ部分がありませんが、
横塚さんは雨でも滑ることなく
完璧に投げる事が出来ます。
大薗さんと並ぶ自作機の最高峰です。

横塚さんの
いつもの操縦スタイル

競技中のスナップ
  
大変なハイレベルの戦いです。
何もしなくても1分30秒以上滞空する機体たちに
私のアトランティス3はとても太刀打ちできません。
ちなみに私の機体は1分〜1分5秒です。(^_^;)汗



パイロンレース


パイロンレースが始まりました。
2名同時飛行による勝ち抜きトーナメント式で、
50m先をターンし先に戻ったほうの勝ち、という単純明快な競技です。
やってみると、これがとても面白い!
ハプニング続出でギャラリーもかなり沸きました。

初めて行われる競技なので、勝手が分からず
各人ランチ方法はまちまちです。
非常に高く上げて機体をダイブさせてスピードを出そうとする人、
水平に近い角度で低く遠くに投げようとする人。
なんとかターンしても、ヨレヨレになって帰って来れなくなる人もチラホラ。
そのたびにギャラリーは大騒ぎ!


あ、大能さん発見。 年齢を感じさせない過激なフライトでした。

しかし、このあたりから雨がポツポツと・・・。


滞空でどうしても勝てないことが分かっていた私は、最初からパイロンレース狙いでした。
アトランティス3は高速型の翼型と、重めの重量のためスピードだけは出るんです。

事前に練習した感じでは、やはり水平にブン投げて
スピードをなるべく殺さずターンし、地面スレスレで帰ってくるのが一番早いようです。
昭和記念大会でも滞空そっちのけで、一人だけ密かに練習していたことを
知っている人はいないでしょう。ハハ。

私のアトランティス3はあれよあれよと勝ち進み、
決勝戦では岡本さんのドラゴンレディとの対決になりました。
最大で最強の敵出現です。
頑張るぞー! 
なんてったって私の機体はここしか見せ場がないもんね。

カウントダウンが始まります。
 3. 2. 1 GO!
よっしゃー、いいスタート!
地上2mほどの高度を真っ先にカッ飛んでいくアトランティス3!
しかし、ターンが終わると岡本さんはずっと前方を飛んでいます。
ありゃーなんでーー?

私は50m先のジャッジの合図を確認してからターンしていましたが、
この手の競技では50mに達する前にターンを始める必要があるみたいですね。
やはり腕の差が出たようです。  (^_^;)


オープンクラス決勝

さあ、いよいよ決勝です。
雨が更に激しくなってきました。


岡本さん
ドラゴンレディX

中島さん
ファイヤーワークス2

横塚さん
インターセプター(自作)

画像がありませんが、他に
関野さん、加納さん、大島さん、吉田さんがファイナルを戦いました。


 
降りしきる雨の中、一直線に上昇し弱いサーマルを探す機体たち。
 こんなに激しい雨でも浮く場所があるんですねぇ。

  

アクシデント発生!加納さんと関野さんが空中衝突してしまい2機が絡んだまま落下、
残念ながらリタイヤしてしまいました。



 

1位が決まりました!
やはり岡本さんです。
2投目の場外1点を除いてパーフェクトです。



 

中島さんの機体には少しトラブルが発生したようです。
プリセットの動きがおかしいと言っていました。


同点のため、2位3位決定のためのフライオフが行われました。
関東と関西の代表者による1対1の一騎打ちのようになりました。
私的には、これが一番見ごたえがありましたね。


吉田@兵庫さん
機体はドラゴンレディ
「関東のもんには負けへんでー!」

中島@東京さん
機体はファイヤーワークス2
「関東代表として絶対勝つ!」
   
火花バチバチ! (笑)


 
3. 2. 1. ハイ!
いい勝負です。 吉田さんに岡本さんの的確な指示が飛びます。
非常に微妙な差でしたが、ヨシダさんが勝利を収め2位を獲得しました。



通常クラス決勝

通常クラスで決勝に残ったのは、
吉田さん、大島さん、大園(和)さん、大能さん、岡本さん、冨田さん、横塚さん、中村真さんです。


 
 
岡本さんは通常ランチのスプリントでさえ、
キューンと言う音を残して、信じられないほど高い高度まで投げ上げます。

 
皆ほとんど実力の差がありません。


独特の粘りを見せる横塚さんの機体。

冨田さんも持ち前の体力で
スペクターを素晴らしい高さまで投げ上げます。


やっぱり岡本さんは強いです。 まったく危なげ無し。


このレベルの戦いでは毎回微妙な判定になり、一投ごとに各ジャッジが呼ばれ
ストップウォッチで計っていたタイムを確認しなければなりません。

大変な激戦になり、コンマ何秒の闘いに集計は大忙しです。
DAFFY村松さんお疲れ様です。

1位、2位が決定しました!

1位岡本さん、2位大園(和)さんです。

3位、4位が同点のため、横塚さんと吉田さんのフライオフが行われました。
再び関東VS関西の図式にギャラリーにも力が入ります。

だいぶお疲れ気味の横塚さんのサポートに回る中島さん。

雨に濡れた翼をフキフキ。
「僕のかたきをとってくれーぇ。」
吉田さんは元気いっぱい。

3. 2. 1. ハイ!

パワフルなランチで横塚さんの上に付く吉田さん。
独特の粘りで高度をキープする横塚さん。

横塚さんの背後にぴったり付く吉田さんの作戦に注目!

 
実力の差はほとんどありません。着陸はほぼ同時。
白熱した戦いが続きます。

結果、またしても吉田さんが勝ち3位を手中にしました。
吉田さんはフライオフにめっぽう強いですね。


表彰式


結果発表のため、競技者が呼ばれます。
すべての競技が終わり、リラックスムードですね。


おっと、パイロン2位に私の名前が! o(^-^)o

     パイロンレースの表彰です。
   
  金メダル 岡本さん ドラゴンレディ
  銀メダル わたくし  アトランティス3
  銅メダル 馬場さん スプリント2

メダルを貰ったことなんて生まれて初めてです。
とても嬉しいですね!
沢山のカメラに囲まれました。
こんな時のポーズはやっぱり
オリンピックの選手のように
メダルをカジらなければいけませんねっ。
  
  通常クラスの表彰です。

  
  金メダル 岡本さん スプリント2
  銀メダル 大薗(和)さん 自作機
  銅メダル 吉田さん スプリント2

   岡本さん2つ目の金メダル!

  オープンクラスの表彰です。

  
  金メダル 岡本さん ドラゴンレディX
  銀メダル 吉田さん ドラゴンレディ
  銅メダル 中島さん ファイヤーワークス2

    岡本さん3つ目の金メダル!!


凄いですねー。 まさにミスター金メダル!


 
最後にジャンケン大会で賞品が配られました。
ハンドランチ用軽量バッテリーやスロープコンバット機、
特にサーボや受信機は大人気で、あっという間に黒山の人だかりになりました。
 



関西組から岡本さんの挨拶

関東組から冨田さんの挨拶

最後にパノラマ写真です。 全員写っているかな。


  

今回の静岡大会は過去最大のハンドランチグライダー大会になりました。
各地から強豪が集まり、初めてのハンドランチ全日本選手権が行われたといってもいいでしょう。

主催のSFCの方々素晴らしい大会をどうも有り難うございました。
とても楽しかったです。
私が参加したイベントの中で一番の盛り上がりでした。

SFCのホームページも合わせてご覧下さい。

サイレントフライトクラブ(SFC)

群馬の木村さんのホームページにもレポートがあります。

きむらクラフト

私が競技やジャッジをしている時は、残念ながら他の機体の飛行を見る事が出来ませんでした。
上野さんの新作DL(SAL)や、加納さんのHighlightの飛行が見たかったです。
特にパイロンの決勝のビデオを撮られた方は、私も見たいので是非ダビングしてほしいですぅー。
 


あわせて、これらのページも是非ご覧下さい。

 サーマルと遊ぼう!
 翼端投げDL(SAL)

  
   
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