ポルシェ911 GT3 RS(997型)に試乗したのでインプレ

実はこんなに続けて911に乗るつもりはなかったのですが、
レンタル料が来月から大幅に値上げするみたいなので
慌ててアースカーに予約を入れた次第です。(笑)
https://www.earthcar.co.jp/earthcar/rf/pc/reserve/cardetail-reserve.do?car_id=2252&popup_no=
車の詳細
http://www.911gt3rslife.com/about-911gt3rs/

ちなみに、アースカーのレンタカーは現場に担当者などはいなくて、
Suicaなどの手持ちの非接触型ICカードを登録して使用するのですが、
これがなかなか複雑なシステムで手続きに少々戸惑いました。(^-^;)

さて、今度のGT3は「RS」という文字が入っている通り、
サーキット走行に特化した体育会系のモデルらしいです。
はたしてどんな乗り味なんでしょうか?


スペック 3600cc 415馬力 車両重量 1395kg 中古価格1600万円~

この車も間近で見るのは初めてですが、オーバーフェンダーのワイド感とともに
外から見える部分だけでも各パーツの本物感が素晴らしく、
全体からレースカーのオーラがバンバン出ています。
凄くカッコいい!これは期待できそうですね。(゜▽゜)

レース用バケットシートなので乗り込むのはちょっと大変です。
リクライニングは無く、背もたれは垂直にピンと立った体育会系のポジションなので、
自ずとハンドルは近くなり、完全にボクシングで言うクラウチングスタイルの戦うポジション。
リアウインドウはアクリル製で、見える景色は少々モヤモヤ感があります。

エンジンをかけると「ブワァーン」と言う
高圧縮NAエンジン独特の歯切れのあるエンジン音が室内に響きます。
シートにもブルブルとある程度の振動が伝わって来ますが、
調子が良くエンジンのばらつきなどは無いので不快ではありません。

ギヤはショートストロークでコクコクと歯切れ良く決まります。
旧モデルである996型GT3に比べてリンケージの剛性も格段に上がっていますね。
クラッチは996型GT3よりも少々重いです。(^-^;)
渋滞でストップアンドゴーを長時間繰り返すとかなり辛いでしょうね。
これも「ギギッ」と言う感触があるのでワイヤー式だと思われます。

多くの911と同じようにアイドリングの回転数のままクラッチを繋いでスタートが出来ますが、
軽量化されたフライホイールを持つ高回転型エンジンなので、
油断するとパタッとエンストしてしまうことがあり少々焦りました。

立体駐車場をユックリ下っていく時でも、
996型とは全く違う完成度の車に進化しているのが判ります。
特にフロント周りの剛性感がまるで別物ですね。
996型では車の動きにちょっと怪しい部分があったんですが、
997型はシャシーへの絶大な信頼感があり不安は全くありません。

旧モデルである996型から997型への進化は物凄く大きくて、
全く違う車と言ってもいいぐらい乗車フィーリングが違います。
997型からはガッチリした剛性と高精度を感じるシャシーが与えられ、
完全に現代のポルシェの完成度となっているのが判りますね。

中古車の購入を考えている人は、
水冷になった直後の涙目ヘッドライトの時代のポルシェは避け、
997型以降のモデルを購入することをオススメします。

ハンドルはやや軽めで中央付近に僅かな遊びがありますが、
ハンドリング自体は非常にシャープで正確であり、
入力に対して間髪をいれず俊敏に車は反応します。

また直進性よりも運動性を重視した味付けになっているようで、
911の特徴でもあるショートホイールベースも相まって、
ドライブ中はちょっとチョロチョロしたフィーリングを持ちます。

遮音は考慮されていないため室内は騒々しく、
走行中はロールバーがきしんで少しガチャガチャ鳴りますが
こういう車なので特に不快ではありません。

サスペンションはハッキリと硬いので、荒れた路面は走りたくないです。
これはおそらく200km/h位から本領を発揮するサスペンションセッティングなのでしょうね。
街乗りは辛いですが、滑らかな路面の高速道路のドライブなら
ある程度の距離でも耐えられるかもしれません。

エンジンフィーリングは素晴らしいです!(゜▽゜)
パワーバンドに入った時のレース用NAフラット6のサウンドと、
カムが乗った時の急激に立ち上がるパワーの盛り上がりを体感すると、
自然に体内のアドレナリンが大放出!
アクセルをガバッと踏み込むと、トラクションに有利なリアエンジン車にもかかわらず、
タイヤは簡単にホイールスピンをして猛然とダッシュします。

ただ、ホイールスピンは「ダダダダッ」と言うジャダーを伴ったもので、
おそらくサスペンションをもっと柔らかくセッテングすれば、
公道でももっとトラクションが得られるようになる可能性が高いです。
これもサーキット専用車だからでしょうね。

加速感は私のチューンドBDRセブンと同じぐらい速いです。
「ああ、自分が911に求めてるのはこういう路線なんだな」と思いました。

GT3 RSは物凄くハードな車です。
今まで乗った車の中で一番ハードかも?(^-^;)
特性は完全に体育会系のアスリート専用車。
車をドライブすると言うよりも、トレーニングジムで体を鍛えている感じに近いです。
乗車前には準備運動してストレッチをした方がいいでしょう。
あと、長時間乗るのはかなり疲れるので基礎体力も必要ですね。

GT3 RSを運転していると、ちょっとしたカーブや交差点でさえも
自ずとタイヤの限界で走り回りたい衝動に駆られます。
この車だったらたとえ限界を超えても正しい操作をすれば
絶対に裏切られることはないだろうなと思わせる
懐の深いシャシーのフィーリングがありました。
レースシーンで愛されるのはこのような特性があるからでしょうね。

GT3 RSはサーキットを限界で走るために存在している車なので、
ドライブしている時の「楽しさ」と「辛さ」を天秤にかけると、完全に「辛さ」が勝ちます。
走行中の上質感とも無縁な車であり、もし休日に楽しくドライブに出かけたいとか、
気持ち良いクルージングがしたいと言う人は選ぶべき車ではありません。
一応公道は走ることが出来ますが、これはあくまでレース専用車です。
トランスポーターでサーキットに運び己の限界に挑戦するのが正しい使い方ですね。(゜▽゜)

一応GoPro動画撮ったけど、法定速度厳守の街乗りシーンだけだと、
この車のキャラクターが全然伝わらない・・・(^-^;)

GT3 RSの本来の使い方。

ここから余談ですが、以前から私はらみいさんが所有する最終型6気筒ボクスター・スパイダー
「名車だ名車だ」と何度も大絶賛していましたが、その理由が今回分かりました。
驚いたことに、あのボクスター・スパイダーの運転フィーリングは、
まさしく今回乗ったGT3 RSにソックリなんです。(゜▽゜)

しかも、公道で最も楽しめる辛口すぎない絶妙な味付けにしてあるので、
GT3 RSみたいに我慢するような乗り心地ではありませんし、剛性感も素晴らしく
疲れすぎないぐらいの刺激も程よくあり、エンジンも高回転まで気持ち良く回り、
ハンドリングや車の挙動もGT3 RSを超えるほど軽快でシャープです。

もちろんサーキットではGT3 RSにかなわないと思いますが、
スポーツカーとして一般公道で楽しむのであれば、
最終型6気筒ボクスター・スパイダーが人には一番オススメできるような気がします。
なかなか手に入らない車ですが・・・。(^-^;)

ちなみに、GT3 RSでも私は少々酔いました。
911特有のRRの挙動に酔う症状はモデルによって出たり出なかったりしますね。
997型ターボと996型GT3ではまったく酔いませんでした。
どうなってるんだろ・・・。(´・_・`)